サウスウエスト航空 乗客の心を捉えるための機内インテリアデザイン

サウスウエスト航空は、低コストキャリアモデルを武器に、アメリカを代表する大手航空会社の一つとしての地位を築いてきました。ダラス(テキサス州)を拠点とする航空会社は、顧客に優しいポリシー、業界トップクラスの柔軟性、そして従業員が提供する独自のホスピタリティによって、競合他社との差別化を図っています。tangerineは、競争の激しい米国内および長距離市場で、サウスウエスト航空のブランドを際立たせると同時に、乗客に快適な体験を提供する新しいキャビンインテリアデザインの開発を依頼されました。
Services
- Vision Setting & Creative Direction
- Customer research and user/stakeholder trials
- Cabin Interior design
- CMF Design



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tangerineは競争的で国際的なピッチを経て、サウスウエスト航空チームにデザインオプションを提示し、同社の伝統を活かしつつ刷新されたキャビンインテリアを通じて型破りな精神を伝える方法を提案しました。
デザイン開発フェーズの開始に向け、tangerineのロンドンスタジオの4名がサウスウエスト航空本社(ダラス)を訪れ、ビジネス関係者や顧客との直接的な対話を実施しました。この訪問の目的は、サウスウエストブランドが顧客や従業員にとって何を特別に感じさせているのかを理解することでした。
tangerineのチーフクリエイティブオフィサーであるMatt Roundは以下のように述べています。 「私たちは、サウスウエストが他のアメリカ航空会社の中で特に目立つ存在になるためのお手伝いをしました。提案では、サウスウエスト航空の独自性とエネルギーをデザインに反映させるとともに、キャビンに温かみを加えることに注力しました。」

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tangerineのデザインチームは、2週間にわたるインタビューやワークショップでサウスウエスト航空の社員たちと深く交流しました。対象は、マーケティング、顧客体験、コミュニケーション、客室乗務員、エンジニアリング、サステナビリティの担当者、さらにはCEOにまで及びました。この対話から得られた洞察が、キャビンデザインがどのように同社の成功に寄与し、サウスウエストが掲げる「最も愛され、最も効率的で、最も収益性の高い航空会社になる」という目標を支えるかについての重要な手がかりとなりました。
また、tangerineは既存および潜在的な顧客ともワークショップや1対1のインタビューを行い、彼らの意見を収集しました。調査テーマは、色彩に対する印象、快適さの要素、機内体験への期待感など、多岐にわたります。このプロセスを通じて、サウスウエスト航空の顧客が機内で優先するものが明確になりました。それは、「穏やかさと居心地の良さを感じられる空間」と「活気のある雰囲気」の両立でした。こうしたインサイトは、tangerineが創造的なプロセスにおける方向性を決定づけるのに役に立ちました。
進行中のデザインコンセプトを検証するため、サウスウエスト航空とtangerineは、顧客とのワークショップ、定量調査、2Dおよび3Dのモックアップ、リーダーシップメンバーによるレビュー等、のアプローチを採用しました。これにより、各コンセプトの相対的な長所と短所を理解し、最適な方向性を選定することが可能となりました。
最終的に選ばれたデザインは、自然の穏やかさをキャビン空間に取り込むことを目指したコンセプトに基づいています。このデザインは、サウスウエスト航空らしさを色濃く感じさせるものです。デザインを実現するために、tangerineはサプライチェーンや技術運用チームと緊密に連携し、パターン、色、素材の物理サンプルを何度も試作しました。その結果、キャビン内のトーンを適切に表現し、運用上の信頼性を保つことに成功しました。
キャビンには、RECARO製のエコノミーシートが採用されており、太陽光が表面に降り注ぐ様子をイメージしたパターンが施されています。このデザインには、自然とつながることで穏やかな気持ちをもたらす空間を求める顧客の声が反映されています。



Land
2024年初頭、サウスウエスト航空は新しい機内インテリアを発表しました。このデザインは、これからの顧客のニーズに応えるため、乗客を巻き込んだ反復的なデザインプロセスを経て完成したものです。
新しいキャビンでは、サウスウエスト航空のブランドカラーが深いブルーのトーンで表現され、新たに導入されたスカイブルーのアクセントも特徴的です。また、同社を象徴する「ハート」がヘッドレストにデボス加工で刻まれ、流れるような模様が織り込まれたカーペットからもその形がさりげなく浮かび上がります。

この18か月におよぶプログラムを通じて、tangerineはサウスウエスト航空の「ブランドの本質」を捉えました。同社のビジネス目標と、顧客の心の中でブランドが占める特別な位置の両方を深く理解した上で、デザインが顧客にも航空会社にも最適であることが確認されました。
tangerineのチーフクリエイティブオフィサー、Matt Roundはこう振り返ります。 「サウスウエスト航空と関係者全員が協力し、デザインの意図をキャビンに最高の形で反映することができました。この素晴らしい成果は、関係者全員が発揮したチームワークの賜物です。」
新しいボーイング737のキャビンデザインは、2025年初頭にサウスウエスト航空のフライトで導入される予定です。


