デザインがいかにホスピタリティ産業に役立つか

鹿児島デザイン フォーラム 2018 で、tangerineのクリエイティブ リード & 日本ビジネス代表の石原祐一が株式会社神谷デザイン事務所代表取締役社長の神谷利徳氏、株式会社アッカ代表取締役の袴田広基氏とトラベル エクスペリエンス向上におけるデザインの重要性について、トークセッションを行いました。

「薩摩デザイン維新」と題したイベントが、日本のPR TIMESで紹介されました。このイベントは、観光業とホスピタリティ産業が世界のデザイントレンドを学ぶこと、また、民泊や宿泊施設ウェブサイトの利用が増加する中で競合的存在であり続けるために「デザイン思考」をどのように活用していくかを学ぶことを目的としています。

「効果的なイノベーション、戦略、デザインの力は、例えば産業が直面するエクスペリエンスの質と価格の不両立といったような問題の多くを解決することができます。」「デザイナーがビジネス面での必要要素と優れたカスタマー エクスペリエンスのための顧客の欲求のバランスをとることは、革新的なソリューションを生み出すことでのみ可能になります」と石原は言います。tangerineが手がけた Snoozeboxのポータブル ホテル デザインは、いかにデザインが顧客の価値観に影響を与え、空間と品質のイリュージョンを生み出せるのかを実証しました。

「現在のホスピタリティ産業はとても不穏な状況にあります。「他社と競争力を担保し差別化を図ることが鍵になります」と石原は言います。問題はこれをいかにして効果的に行うかということです。イノベーション、デザイン、戦略のコンビネーションの重要性を彼は説きます。「このコンビネーションは体験を創造し、ブランドストーリーを展開していきながらビジネスの原動力となります。British Airways(ブリティッシュ・エアウェイズ)のクラブワールドシートがその例です。」

1998 年 British Airways が新たなビジネス クラスを検討し、tangerineはスペースを新たな視点から考えました。乗客が前向きと後ろ向き交互に座る陰陽の形をしたyin-yang(インヤン)座席をデザインしたことで、tamgerineはビジネス クラスの総座席数を保ちながら、全席フルフラットを実現しました。クラブ ワールド シートは 2000 年に導入され、ビジネス クラスで世界初のフルフラット シートは業界を揺るがし、そしてそれは他社が目標とする水準となったのです。ここに商業的願望と顧客の期待度の完璧なバランスが実現しました。つまり、企業と顧客の双方に利益となったのです。

「デザインは見た目を魅力的にすることだけではありません。新しい技術を適用することと顧客に最適なエクスペリエンスを生むこと、その両者間にある矛盾のバランスをとるための解決策を見つけることも可能にします」と石原は論じます。

Left to Right: Hiroki Hakamada, Yuichi Ishihara and Toshinori Kamiya