フラッグシップ機A350

JAL

概要

JALは2013年、次世代フラッグシップ機として同社初となるエアバス社製航空機A350型機の導入を決定しました。日本政府は東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年までに海外からの訪日客を4000万人に引き上げる目標を掲げており、これを受けてJALは、デザインを担当するパートナー企業の選出に海外企業も参加する国際入札を実施しました。

入札において与えられた課題は、ファーストクラス、クラスJ、エコノミークラスの3クラスで構成された新型航空機に、JALブランド「伝統・革新・日本のこころ」を表現するデザインを提案する、というものでした。

このときのプレゼンテーションを担当したのは、tangerineのチーフクリエイティブオフィサーのMatt Roundと、クリエイティブリード兼日本ビジネス代表の石原祐一です。過去 30 年近く日本の企業と数々の連携を行ってきたtangerineは、日本に関するその豊富な知識と、ロンドンを拠点とするデザインコンサルティング企業として世界に名だたる有名企業を手掛けた経験や専門性を駆使し、JALの目標達成に向かって共に取り組む、最適なパートナーであることを印象づけました。

重要なインサイト

JALはビジネスの拡大を目指すとともに、国内外からの旅行客の記憶に強く残る、インパクトのあるデザインを作り出すことを目指していました。これを実現するには、日本のお客様の好みに合わせた機内エクスペリエンスを提供するとともに、需要拡大が見込まれるインバウンド市場にアピールするデザイン要件を満たさなければなりません。

訪日観光客のほとんどが日本を魅力的な国だと感じるものの、その背後にある伝統や文化の真の価値を理解しているとは言えません。そこでtangerineでは、日本の伝統美を表現すると同時に、国内のお客様にも海外からの旅行客にも好まれるスマートなデザインを追求しました。

Mattは次のように説明します。「『Infused Essence(インフューズド・エッセンス)』と題したデザイン戦略を構築し、国内および海外のお客様に喜んでいただけるように、日本の伝統文化の真髄を現代の旅のスタイルに合わせた形で表現しました。」

 

ソリューション

「Infused Essence」は航空機のあらゆる部分に表現されています。ウイングレット部分には、JALのコーポレートカラーである赤を使用した新デザインを採用。主翼のウイングレット部分から徐々に薄くなる赤のグラデーションは伝統と現代の融合を表現しています。

またハード面だけでなく、目には見えない「カスタマーエクスペリエンスのソフト面」にも着目。意識下の行動や感情に配慮した細かな工夫を凝らすことで、カスタマーエクスペリエンスを大きく向上させました。

スタッフの笑顔に迎えられてキャビンに一歩足を踏み入れると、ブランドを象徴する深みのある赤い壁が目を引き、前方の入口にはJALのシンボルである鶴丸の金のロゴが輝きます。

キャビンは広々として温かく心地よい雰囲気に包まれます。A350型機にて初めて採用されたダークな色調のサイドウォールが、キャビン内に落ち着いたムードを醸し出し、光を一面に反射する真っ白な天井と手荷物収納棚との鮮やかなコントラストを織りなします。

機内のインテリアは物理的な仕切りを設けるのではなく、日本の伝統様式を取り入れ、ゆるやかにつながる和の空間を再現しています。また素材を効果的に使用する日本のインテリアデザインに倣って、様々な素材を採用することで広々とした空間を演出し、キャビン内に自然なリズムを生み出しました。

最新鋭の設備と日本の伝統美が溶け合ったファーストクラスは、プレミアムな国内線の旅のベンチマークとなる高級感のあるデザインに仕上げられています。さらに、キャビン前方にあしらわれた折り紙を思わせる立体的なフォルムの壁が、間接照明の光を美しく拡散します。

ジャムコ製のファーストクラスシートにて、シートの高さを下げ、シートパンと背もたれの角度を変更することにより、お客様に快適な空の旅を提供します。

「Infused Essence」では、ジオメトリックな形状のシートのデザインが、さりげなく自然で柔らかな形のシートクッションと対照的に表現されています。

日本の文化では自然との関係が重んじられるため、自然の要素を機内のデザインに取り入れることに注力しました。晴れた日には、半透明の仕切りから木漏れ日のように自然光が差し込みます。シェル上部を皮革素材(ELeather)で包み込み、座席のデザインに統一感を演出し、JALらしい印象が生み出されています。

JAL First class seat

「革の自然な風合いにより、シートに柔らかさを与え、機能的な印象を和らげます。自然の良さを味わうことは、日本の美意識なのです」とMattは言います。

同様に、ファーストクラスのカクテルテーブルには、席ごとに異なるマーブル模様の素材を採用し、自然を表現しました。

生産工程での試行錯誤を経て生まれた革新的なカーテンは、垂直方向のマイクロプリーツにより、素材に立体的表情を与えます。

「Infused Essence」はクラスJにも浸透し、包まれ感のあるシート形状に加え、アームレストにファーストクラスの特徴的な形状と色合いが踏襲されています。キャビン後部にあるJALの赤いバルクヘッドは、一際目を引きます。

シートカバーをボルドー色と濃い藍色の2つの色の塊で分割することで、よりワイドに見える視覚効果を生んでいます。 「本革と布地のコンビネーションはシートに豊かな触感を与えます。背もたれには柔らかい布地を織り込むことでお客様に快適さを提供し、シートパンとヘッドレストには本革を使用することで、心地良く耐久性のあるシートに仕上げています」と石原は述べています。

JAL, Class J seat closeup

JAL Class seat

色と素材の品質に対するこのアプローチは、エコノミークラスにも使用されています。キャビンに入った瞬間、お客様にダークトーンの落ち着いた印象を感じさせます。一転シートに腰を下ろすと、シートバックの鮮明な白が目の前に広がり、シートポケットに配された赤いアクセントカラーと相まって空間にゆとりを感じさせます。

JAL economy seats from rear

ラバトリーにも細心の注意を払いました。一般的には明るい色調を使って広く感じさせるところ、小さな日本の空間からインスピレーションを得て、ダークな色や素材を組み合わせて洗練された空間を生み出しました。墨色の壁に銅色のメタリックプリントが施され、機内の壁に採用されたダークグレーのポリウレタンコーティングとの統一感が演出されています。これらの色と質感は、真っ白のシンクや、洗面台の淡いオーク調の木目、自然石を感じさせる床とハーモナイズし、JALのお客様に安らぎを感じさせます。

JAL Lavatory

石原は次のように述べています。「4年間に渡りtangerineはJALと親密な関係を構築し、『Infused Essence』というデザイン戦略を実行しました。私たちはJALの様々な部門の人々と協力し、プロジェクトと航空機のサプライヤーの管理をサポートし、高品質の成果を実現しました。」

Mattは次のように述べています。「tangerineは、旅行する人々の顧客体験全体でJALを代表するビジョンを設定しました。私たちは日本の本質を捉え、国際市場にアピールするだけでなく、国内旅行者を惹きつけるJAL独自の方法でそれを体現しました。」

The client says:

JAL代表取締役会長の植木義晴氏は、「洗練された機内にはJALらしさが表現され、素晴らしい出来です」と述べています。

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